第90章

第三者視点

 掃き出し窓の前に立つ高木一郎は、上機嫌だった。

 武田院長に上手く「入れ知恵」してやる必要がある。高木文弘を説得できるのは松井美玲しかいないと、そう思い込ませるのだ。

 そうすれば、次の計画へと駒を進めることができる。

 そのとき、彼のスマートフォンが震えた。

「一郎さん! 私です、雅子です!」

 電話の向こうから、極度のパニックに陥った雅子の声が響く。

「助けてください! 今、レッドストーン・シティの小さなホテルに隠れているんです。高木文弘の手の者が、あちこちで私を捜していて……もう、頭がおかしくなりそうです!」

 高木一郎はわずかに片眉を上げた。

「何があった」

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