第94章

三人称視点

 高木文弘から放たれるアルファの気配はあまりにも強烈で、いかなるウェアウルフの女性にとっても致命的な魅力を秘めていた。

 さきほど抱きとめられたことで、女は完全に顔を赤らめていた。

 心臓が早鐘のように打ち鳴り、羞恥に俯く。

「アルファ……私は愛梨。ウエストブリッジ病院の看護師です」

 高木文弘の胸を占めていた高揚感は唐突に空振りし、どうしようもない苛立ちへと変わった。

 彼の異変に気づいた愛梨が尋ねる。

「アルファ、どうなさいました? どこかお加減でも? お医者様を呼んでまいりましょうか」

 高木文弘は指先を強く握り込んだ。

 顔立ちだけではない。声の響きや話す抑揚ま...

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