第121章

チンピラ三人が逃げ去ったことで、その場にいた誰もが呆気にとられた。しかし、警備員たちは彼らを追おうとはしなかった。彼らはあくまで警備員に過ぎない。居住者に危害が及ばないよう守るのが仕事であり、犯人を取り押さえるのは警察の領分だと割り切っているのだろう。

 形勢不利と悟るや否や、坂下あゆみはコロリと表情を変えた。彼女は警備隊長にへらへらと愛想笑いを浮かべる。

「誤解です、全部誤解なんですってば。私も脅されてただけで……ほら、私たちは家族なんですよ。ねえ、義姉さん」

 私はドアを押し開け、涙で顔をぐしゃぐしゃにしたさくらを抱き上げた。そして、冷ややかな視線を向ける。

「今さら義姉さん、で...

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