第127章

「待ちなさい!」

 おばあさんが立ち去る寸前、私は彼女を呼び止めた。用意しておいた食事を詰め、それを手渡す。

「これを持って行って。二度と姿を見せないで」

 おばあさんが去ったあと、私は伊藤香織が買ってきてくれた朝食に手をつけた。伊藤香織は私に休むように促し、さくらの付き添いは自分が代わると言ってくれたが、私は首を横に振った。

 伊藤香織が小さく溜息をつく。さくらが連れ去られた件で、私がまだ彼女を責めていることに気づいているのだ。私はあえてその感情を隠そうとはしなかった。変に気を使わないほうが、彼女にとっても気が楽だろうと思ったからだ。

 伊藤香織はしばらく話し相手になってくれ、私...

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