第128章

あの時、坂本さんがその場にいなければ、きっと喧嘩になっていただろう。結局、加賀先生が針を打って救ってくれたのだ。他の医者たちが手こずっていたさくらだが、先生の一針ですぐに目を覚ました。おかげで向こうの医者は顔を潰された形になったけれど。

 私はその医者に愛想笑いを浮かべるだけで何も言わず、さくらを抱きかかえて坂本さんの車に乗り込んだ。

 道中、さくらはご機嫌だった。どうやら加賀先生のことが気に入ったらしい。先生の方もさくらを好ましく思っているようで、老人と幼子の二人は車内ではしゃいでいた。その光景を見ていると、沈んでいた私の心も晴れ、自然と笑みがこぼれてくる。

 私たちはまずスーパーに...

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