第131章

坂下直樹は首を横に振った。

「まあ、そう言わずに。僕たちがこれからどうなるにせよ、少なくとも今はまだ夫婦だ。それに、こんな時に僕が立ち去ったら、お義父さんたちだって心配するだろう? ね、真美。余計なことは考えないで、今はお義母さんの体調を第一に考えよう」

 彼はそう言って、私の肩をポンと叩いた。彼が私の母を「お義母さん」と呼ぶのが、以前よりも滑らかに聞こえて、それが妙に鼻につく。不快だった。でも、彼の言うことが正しいのも事実だ。さっき父は、直樹がさくらを突然連れ出した件について聞いてきたばかりだ。明らかに、両親も何かを疑っている。

 私は頷いた。

「……わかったわ。じゃあ、悪いけど数...

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