第132章

「まだ私に嘘をつくつもりか!」

 父さんは声を荒らげそうになるのを必死に抑え、私を強引に引き離した。

「いいか真美。直樹くんがお前の作った坂下商事を引き継ぐのがどれだけ大変だったか、分かっているのか。彼はその後も、お前に満足してもらおうと懸命にやっているんだぞ。それなのに、お前は少し自分のことを偉いと思い過ぎているんじゃないか。家庭も子供もある身だということを、もっと自覚しなさい」

 父さんが何を言わんとしているのか、すぐには理解できなかった。だが、明らかに坂下直樹が父さんに何かを吹き込んだことだけは間違いない。私は思わず病室の方へ視線をやったが、父さんの目にはそれすらも反抗的な態度と...

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