第133章

「分かりました、お父さん」

 私は元より長居するつもりなどなかった。即座に返事をすると、帰りたがらない坂下直樹の腕を強引に引き、病室を後にした。

 廊下に出た途端、私は表情を一変させる。

「坂下直樹、いい加減にして。そのくだらない小細工、やめてくれない?」

 坂下直樹は肩をすくめ、悪びれもしない様子でおどけてみせた。

「じゃあ、僕からお義父さんに話そうか?」

「あなた……」

 私は一つ深呼吸をして、努めて冷静に言葉を継いだ。

「これ以上私に軽蔑させないで、坂下直樹」

「君を取り戻せるなら、僕は何だってするよ。ねえ、真美。許してくれないかな」

 坂下直樹は距離を詰め、甘った...

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