第138章

「乗るんじゃなかった」

 坂下家の人間になど、もう二度と騙されるものか。私はとっくに愛想を尽かしていたし、遠慮するつもりもなかった。ポケットから携帯電話を取り出し、百十番通報して警告してやろうとしたのだが――ロックを解除する間もなく、隣に座っていた義母(おばあさん)にひったくられてしまった。

 私が血相を変えると、暴れられるのを恐れたのか、義母は慌てて携帯を私の横に置いた。だが、手を伸ばそうとするとまた取り上げられる。そんな不毛なやり取りを何度か繰り返した後、私は携帯を取り返すのを諦めた。

 すると彼女は笑みを浮かべてこう言った。

「真美さん、そんなに極端なことをしないでちょうだい。...

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