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私は首を振って答えた。

「気にしないで。どこの家庭にも、他人に言えない事情があるものよ」

昨日の千葉源の言葉をそのまま返してやると、彼は首を振って苦笑いした。

千葉源からすれば、私たちの提携はもう確実に破談だと思っているのだろう。だからこそ、「商売にならなくても縁は残る」といった類いの言葉を重ねてきた。そんな中、私のスマホに村雨霞からメッセージが届いた。会いたいという誘いだった。

少し考えた末、千葉源に謝りを入れ、まずは村雨霞に会いに行くことにした。

「高橋真美!」

立ち去ろうとした私を、千葉源が呼び止めた。振り返ると、彼は少し躊躇った後、口を開いた。

「坂本さんにお伝えくださ...

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