第23章 実は私の誤解だった

伊藤香織は頭を振った。「監視カメラの映像がはっきりしなくて、あの女性の顔は見えないわ。坂下直樹と抱き合っていて、ちょうど隠れてしまってるの」

「その映像、見せてもらえる?」私は手を伸ばした。

伊藤香織は携帯電話を取り出し、監視カメラの映像を送ってくれた。

その夜は通りに人が多く、坂下直樹の姿が映像に現れたのもほんの一瞬だった。私がアイロンをかけてあげたあのコートを着て、彼の高い背格好は群衆の中で際立っていた。左腕でピンク色の上着を着た女性を抱き寄せていて、その女性の姿は彼の大きな体に遮られて一部しか見えなかった。

映像を拡大してみたが、女性の顔ははっきり見えない。ただ坂下直樹はコート...

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