第44章 人心を掴む

帰宅後、私はこの件について坂下直樹に一部始終を話してみました。

ところが坂下直樹はむしろ私を褒めてくれました。「真美は本当に良妻賢母だね。男女の関係を気にしなければ、僕ももっと早く田中進の奥さんのお見舞いに行っていたよ」

「お腹の大きな妊婦に嫉妬するわけないでしょ?」私は目を白黒させて言いました。「それに、私も本心よ。田中進はここ数年誠実に働いてくれてるし、あなたみたいな男性が気づかないのは当然。女性ってのは、こういう小さな思いやりが必要なのよ!」

もちろん、私がこうしたのには理由があります。ただ彼の疑念を払拭したかっただけです。

この狡猾なくず、もし私がこういうことで彼に隠し事をす...

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