第66章

「いえ、大丈夫ですから」

私は手を引っ込め、言葉を継いだ。

「お二人の話が大事でしょうから、私はこれで失礼します」

 千葉源は眉をひそめて私を見つめ、それから坂本天宇に視線を移した。そして再び私に向き直ると、厳粛な面持ちで告げた。

「高橋さん、もしそれが事実なら、私は断じて許しません。厳正に対処します」

 私は頷き、足を引きずりながら部屋を出た。ドアを閉めようとしたが、坂本天宇がそのままでいいと言うので、開け放しておくことにした。

 本来ならドアのそばに張り付いて立ち聞きでもしたかった。行儀が悪いとはわかっているけれど、彼らの会話の内容が気になって仕方がないのだ。しかし、天は味方...

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