第67章

昨日転んで以来、右手を動かすのが怖くなっていた。ほんの少し動かすだけで激痛が走るのだ。けれど、医者に診てもらう以上、どれほど痛くても腕を上げなければならない。

 加賀先生は私の手を掴むと、指でぐいぐいと押し始めた。その手技は実に見事なもので、患部を的確に捉えているはずなのに、不思議とそれほどの痛みを感じない。加賀先生は施術を続けながら頷き、口を開いた。

「ふむ、我慢強い子だ。名前は?」

「高橋真美……」

 答えようとした瞬間、腕からパキッという乾いた音が響いた。私は驚きのあまり、反射的に手を引っ込めてしまう。

 その素早い反応を見て、加賀先生は満足げに頷いた。

「よし、治ったぞ」...

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