第68章

まさか、私が万引きしたと疑っているの?

 信じられない。これでも一応、若奥様なんだけど。いつから泥棒扱いされる身分に落ちぶれたのかしら。

 違う、そんなことはどうでもいい。店員たちは坂本天宇が逃げたと言っている。まさか、私に試着させたのは、ただ恥をかかせるためだったの?

 私はどうすべきか分からず、試着室の服を前にして立ち尽くした。着るべきか、やめるべきか。

「この服、他のサイズはありますか? 試着したいんですけど」

「少々お待ちください、確認してまいります。……在庫はあと一点ございますが、ただいま別のお客様がご試着中でして」

「そうですか」

 ……

 しばらくすると...

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