第76章

時間の都合もあり、私たちは外で夕食を済ませることにした。私は眠いふりをして車から降りるのを渋ってみせる。結局、坂下直樹が仕方なさそうに、私を抱きかかえるようにして車から引きずり出してくれた。彼はその状況を楽しんでいるようだったが、それを見て坂下あゆみがどう思うかなんて知ったことではない。そもそも、彼女を胸糞悪くさせるためにやったことなのだから。

 食事の注文の際、坂下あゆみは自分と坂下直樹が好きなものばかり選んでいた。脂っこい肉料理を大量に注文しようとする。中には私の好物もあったが、私はあえて首を横に振り、病み上がりだから油っこいものは喉を通らないと坂下直樹に伝えた。

 坂下あゆみは不満...

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