第84章

本来ならそのままお金を振り込んでやるつもりだった。でも、考えれば考えるほど腹が立ってくる。そこで私は、ふと視線を巡らせ――ある「妙案」を思いついた。

 ゆったりとしたルームウェアに着替えると、私はリビングへ向かい、ソファに座る坂下直樹の隣に腰を下ろした。今の私が「見るだけ」の状態だと知っている彼は、申し訳程度に苦笑いを浮かべただけで、すぐにスマートフォンに視線を戻した。

 ただ、さっきまで縦に持っていたスマホを、今は横に構えている。私が来るまでは誰かとメッセージのやり取りをしていたはずだが、今はゲームで暇つぶしをするふりを決め込んだようだ。

「ねえ、あなた」

 甘えるような声を出し、...

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