第150章

高波延東は高波家がすでに高波直俊の物となったことを自覚し、かつてない無力感が彼を襲った。

「私は高波家のためを思っているんだ!智司という子に会ったが、あの子は将来必ず優秀な後継者になる。人材を無駄にしたくないんだ」

高波直俊は瞳の奥が深くなり、じっと彼を見つめた。「わかっています。ですからご心配には及びません。こういうことは、今回限りです。二度とないようにお願いします」

そう言うと、歩き出そうとした。

二歩ほど歩いたところで、また立ち止まり、振り返らずに言った。「智司は三原由美から離れたがらない。あなたも彼がまた家出するのは望まないでしょう?もし何か起きたら、その責任は誰が取るのです...

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