第16章

彼は怒りを抑えきれず、二人の会話を遮った。このまま見ていたら、由美を追い出してしまいそうだった。

「はいはい、朝ごはんにしましょう」

習慣的に明の食器を用意しながら言った。

明が手を伸ばそうとすると、由美に遮られた。

「明くん、さっきママが教えたこと覚えてる?自分でやってみて」

指示された明は気にせず、由美が教えた通りに保温弁当箱を開け、中身を食事用トレーに並べ始めた。

初めての経験で動きはぎこちなく、お粥をこぼしてしまったが、なんとか完了できた。

由美は再び親指を立てて明を褒めた。

短時間で由美に二度も褒められた明は、嬉しさのあまり手足の置き場に困りながらも、由美に食器を差...

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