第24章

今、温室での管理のもと、藤の花が豪華に咲き誇っていた。紫色の花が風に揺られ、遠くから眺めると息を呑むほど美しい紫の花海だった。

三原由美は陶然と藤の香りを嗅いでいた。花は大きく密集して咲き、丹精込めて育てられたことが一目で分かった。

さらに驚かせたのは、藤の花だけでなく、庭にはみかんの木が所狭しと植えられていたことだった。

高波明は三原由美の手を引きながら説明した。

「パパはみかんが大好きなんだよ。ほら、これ全部パパが植えたみかんの木。この前実が熟したばかりで、もうすぐパパが収穫に来るんだ」

三原由美は一瞬我を忘れるほど驚いた。先ほどの違和感は単なる思い違いではなかったのかもしれな...

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