第129章 証拠を手に入れる

仕事が終わる頃、山本希は休憩室に行って着替え、靴もカジュアルシューズに履き替えた。

その理由は、もちろん後で人を殴りやすくするためだ。

着替えを終えたところで携帯の画面が明るくなるのが見えた。手に取ると詩子からの電話だった。クズ親父の言葉を思い出し、結局電話に出た。

「姉さん!」

「うん?」

「今夜帰ってきて食事する?」山本清語の声は活発で可愛らしく、さらに甘えた調子で言った。「今日は授業がなくて、特別におばさんから二品料理を習ってきたの」

山本希は携帯を握る手に力が入った。

帰りたくなかったが、詩子の熱意を冷ましたくもなかった。

「お姉ちゃん〜」山本清語が甘えた声で言った。...

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