第184章 その時に竹籠で水を汲んで空になるな

山本希が彼に一瞥をくれた。

彼女は思わず、もし本当にお金がないなら、脳みそを見てもらったらどうかと言ってやりたかった。

しかし結局、何も言わず、ただ黙って窓の外に視線を向け、佐藤悟に関するすべてを完全にシャットアウトした。

道中は無言だった。

佐藤悟は彼女をホテルまで送った。

山本希はさっぱりと車を降り、去り際に彼を一目も見ずにホテルへと向かった。

佐藤悟はしばらくその場に留まり、彼女がホテルに入ってから車を発進させ、祖父のところへ戻った。

彼が戻るとすぐ。

ホテルの玄関を入ったところで、まだ先ほどと同じ場所に座っている久保忠一を目にした。

彼が来たのを見て、久保忠一は歩み...

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