第15章

電話の向こうで担当者が言葉を詰まらせ、気まずそうに言い繕った。

「……お父さまはご健在です。ですので、南区裁判所まで一度お越しいただき、財産移転の件をきちんとご説明ください。そうでないと、お父さまが多額の賠償を負う可能性が――」

橋野悠希は休憩室のベッドに横たわったまま、腕の鈍い痛みに眉を寄せた。息が熱を帯び、喉の奥がひりつく。

「へえ。生きてるんだ。じゃあ伝えて。今なら死んでいいよ」

受話器越しに、橋野振武の狂ったような罵声がはっきり聞こえた。

悠希は通話を切って電源を落とす。じわじわ上がる体温が、残っていた体力を削り取っていく。瞼が重くなり、そのまま意識が沈んだ。

――がやが...

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