第42章

村木雨は首を横に振った。

「彼女の腕が確かなのは認めます。ですが、島崎ワイナリーの酒を全国に流通させ、ひいては世界で売れるブランドに育てるとなれば――やはり頼るべきは長川様でしょう」

長川貞也の表情がわずかに和らぐ。だが、それで胸のつかえが消えたわけではない。村木雨が本気で島崎ワイナリーを丸ごと任せるつもりなら、ここでこんな押し問答を続けるはずがない。

「村木さん、回りくどいのはやめてください。言いたいことがあるなら、はっきりと」

村木雨は笑った。

「話が早い。私は賢い人と話すのが好きなんです。長川さんには一歩引いていただきたい。前回私が提案した形――このワイナリーを、あなたと彼女...

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