第43章

深夜。月は半分だけ雲に隠れていた。

「ダメだ。今すぐ、あの老いぼれの死体を火葬に回す」

「でも……外はマスコミだらけです。いま運び出して火葬なんてしたら、勘のいい連中に嗅ぎつけられますよ」

「じゃあ、どうしろってんだ」

「いったんワインセラーに置いておきましょう。明日になってから運び出して火葬すればいい」

男と女の声が、パソコンのスピーカーから流れてくる。

橋野悠希の顔色が、みるみる変わった。

村木雨の死に裏があることは薄々わかっていた。けれど、村木明広の非情さは想像以上で、胸の奥が冷え切る。実の息子なのに、葬儀すら出さないなんて。

――解剖は、急がないと。

悠希はパソコン...

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