第68章

橋野悠希はその隙を逃さず、冷静に言い放った。

「私は、私の意思を伝えに来ただけです。これからは自分の人生を自分で生きます。橋野家とは、ここで縁を切ります」

そう言い残し、悠希は病室を出た。だが廊下に出た瞬間、手首をがしっと掴まれる。

長川お婆様だった。

お婆様は病室の中にいる父娘を振り返り、鼻で笑う。

「橋野振武。うちがずっと橋野家に手を貸してきたのはね、あんたの娘が私の孫嫁だったからだよ」

「ここまで拗れたなら、もういい。長川家と橋野家でやってる木材の取引――今日で終わりだ」

そう言って踵を返す。

橋野振武の顔から血の気が引いた。

その取引は橋野家にとって生命線だ。失えば...

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