第74章

橋野振武の胸が、すうっと冷えた。

「うちの娘をここまで育ててやったんだぞ。ちょっと金を使ったくらいで、そんなに細かく言うのか!」

温井従子は橋野振武の様子を見て、涙をぬぐったかと思うと、そのまま声を上げて泣き出した。まるで運命に喉元を締めつけられたみたいに、周りの全員が自分をいじめる悪人に見えている。

「橋野! あんたも何か言ってよ! 産んで育てた恩がどれだけ大きいと思ってるの。どうしてこんな恩知らずに育つのよ!」

――その一言で、ほぼ決まりだった。

橋野振武は温井従子を怒鳴りつけるように睨み、曖昧にやり過ごそうとしていた腹が完全に消えた。ただ眉間を冷たく寄せる。

「このクソガキ...

ログインして続きを読む