第91章

車を走らせ、家に戻ってようやく、橋野悠希は胸の奥の息を吐いた。

長川貞也の指摘はもっともだ。このまま朝日静哉とクリスマス向けの配合を詰めないと、いざという時に間に合わない。

だから翌朝、空が白みはじめる頃には、悠希はもうワイナリーへ車を向けていた。

濃いめのメイクで、彼女は朝日静哉の正面に立つ。

「青梅ジュース、もう少し足したほうがいいと思う」

悠希は脇に置かれた青梅ジュースを指さした。

まろやかな甘口の原酒に、ほんの少しの酸味と渋みが混ざれば、印象はぐっと残る。

この手の限定酒は、長く売り続けるものじゃない。まず心を掴んで、あとから思い出してもらう。それが先だ。

「俺の原酒...

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