第176章

水原玲はわずかに虚を突かれたようだったが、短くこう告げた。

「彼を応接室にお通しして」

今の彼女はまだ、石川秀樹が実の母親に外出禁止令を出したことも、水原心奈に最後通牒を突きつけたことも知らなかった。

少しの迷いの後、彼女は応接室へと向かった。

その時、石川秀樹は応接室のソファにゆったりと背を預け、長い脚を組んで座っていた。ジャケットのボタンは外され、いつものネクタイはなく、シャツの襟元も寛げたように開かれている。手には自身のスマートフォンを持ち、経済ニュースに目を通しているその姿からは、手首に巻かれた高価な腕時計が覗き、全身からアンニュイかつ優雅なオーラが漂っていた。

入室した瞬...

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