第177章

水原心奈の表情が凍りついた。

心の中ではこの小娘を何十回も罵倒していたが、部署の全社員が見ている手前、面目を潰されたまま引き下がるわけにはいかない。彼女は引きつった笑みを無理やり張り付け、繕うように口を開いた。

「あら、潔癖症なのね。おばさんの手は洗ったばかりだから、汚くないわよ」

しかし、子供たちは彼女の顔を立てようとはしなかった。

「行くよ」

渡辺勇介は心の中で苦笑した。この小さな男の子は、ますます石川グループの後継者としての風格を帯びてきている。

大人一人と子供二人は、そのままデザイン部を後にした。

彼らの姿が見えなくなると、張り詰めていた空気が緩み、直後に社員たちの間か...

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