第216章

 石川秀樹の表情は、見る見るうちに曇っていった。氷のように冷たく張り詰め、車内の気圧も急激に下がるのを感じる。

 運転席の斎藤恭介は、息を潜めるようにしてハンドルを握っていた。もし誰かがボスをこれほど挑発したら、いつもの彼なら車から放り出していただろう。そんな錯覚さえ覚えるほどの剣幕だ。

 しかし、石川秀樹はただ水原玲を見つめるだけだった。冷ややかで、歯噛みするような視線。

「どうやら、水原さんにとっては不本意なようだな。だったら、デザイン展になど行く必要はない」

 言い捨てると、彼は斎藤恭介に命じた。

「車を回せ。水原さんを送り返す」

 斎藤恭介は即座には答えず、もちろんUター...

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