第217章

 彼女はさっぱりしたもので、言うだけ言うとすぐに立ち去ろうとする。

 石川秀樹の顔色は、恐ろしいほど険悪だった。

 だが、彼は何も言わなかった。

 水原玲が背を向け、その場を離れようとした――その時だ。

 猛スピードで疾走してきた一台のバイクが、彼女の体を掠めるように走り抜けた。石川秀樹は素早く反応し、とっさに彼女の腕を掴んで引き寄せる。

 完全に無防備だった水原玲は、勢いのまま彼の胸に飛び込んだ。

 彼女が見上げ、彼が見下ろす。

 視線が交錯した瞬間、あたりの空気が凍りついたかのようだった。

 ちょうどそこに、斎藤恭介が追いついてきた。

 彼は直前に何が起きたのかを知らな...

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