第246章

「暇なのか?」

 石川秀樹は、冷ややかな視線を彼に投げかけた。

 斎藤恭介は思わず身震いした。

 数日前、中庭で二人が熱烈なキスを交わしているのを目撃したばかりだ。てっきり熱愛中だと思っていたというのに、一体どうしてまた喧嘩などしているのか。

 今日は一日、大人しくしていたほうがよさそうだ。

 一日中、彼は石川秀樹の前で「若奥様」という単語を口にするのを避けてきた。

 しかし……。

 一つだけ、どうしても確認しなければならない案件があった。

 退勤間際、これ以上は先延ばしにできないと観念し、彼は年次パーティーの招待者リストを手に石川秀樹のオフィスに入った。

「社長。パーティ...

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