第251章

 石川秀樹は彼女の去りゆく背中を見つめながら、一瞬にしてどん底の気分に陥っていた。

 帰路の車中、石川秀樹の顔色は曇ったままだ。水原家の兄妹は、そんな父親の様子を伺っていた。何度か、水原千尋は彼に話しかけようとした。ママとパパがこのまま仲違いしたままなんて、嫌だもの。

 だが、水原一郎がそれを制した。妹に向かって小さく首を横に振る。

 結局、父と子、三人は重苦しい沈黙を漂わせたまま帰宅することになった。

 リビングに足を踏み入れると、そこには予期せぬ人物が待ち構えていた。佐藤雅子と石川里見である。

 石川里見はまだいい。ソファに深く腰掛け、平然とコーヒーを啜っている。

 問題は佐...

ログインして続きを読む