第253章

 斎藤恭介が、彼らに向かって目配せをした。『おめでとう、助かったな』という合図だ。

 遠野秋が真っ先に反応し、慌てて声を上げる。「石川社長、技術部は問題ありません」

 他のメンバーも、すぐにそれに追随した。

 石川秀樹は小さく頷くと、席を立ち、会議室を後にした。

 この時、水原玲はまだ知らなかった。自分がまた一つ、手柄を立てたことを。

 彼女の目に入ったのは、設計部に入ってきた石川秀樹の、氷のように冷たい表情だけだった。

 彼は玲を一瞥したが、その瞳には何の感情も宿っていない。まるで彼女が無関係な人間であるかのように素通りし、設計図の前へと歩を進める。

 先ほどまで床に広げてい...

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