第255章

 誰かがそう呟くと、場は一瞬にして静まり返った。

 次の瞬間、全員の視線が一斉に高塚礼佳へと注がれる。

「高塚さん、やっぱり人を見る目があるね。僕らも見習わないと」

「当然でしょ」

 高塚礼佳は彼らに向かって得意げな表情を浮かべてみせた。

「精々勉強することね」

 ……

 帰りの車中、水原玲は打って変わって大人しかった。彼女は座席の隅に座り、隣の石川秀樹を時折盗み見ては、何かやましいことでもしたかのように慌てて首をすくめる。

 いつものあの勝ち気な態度は、どこへやら、だ。

 石川秀樹は口元をわずかに緩め、彼女を一瞥した。

「見たいなら、堂々と見ればいい」

 玲は少し考え...

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