第268章

「金の問題じゃない。『雲浬広場』のデザイン案は確かにヘレンの手によるものだが、開発主体はあくまで石川グループだ。仮にヘレンが頷いたとしても、石川秀樹が首を縦に振るはずがない」

 葉山徳海は押し黙り、ずきずきと痛む眉間を指で揉んだ。

 石川グループまで巻き込むことになれば、事態は厄介なことになる。

 鈴木雲は冷徹に言葉を継いだ。

「実のところ、葉山社長に残された道は一つしかありません。記者会見を開き、事情を説明することです。

 それが手違いだったのか、あるいは不慮の事故だったのか……その説明内容にヘレンは口を出しません。それが御社の損失を最小限に抑える方法でもあります。

 不法な手...

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