第274章

「別に、不都合なんてありませんよ」

 彼女は我に返ると、咄嗟に取り繕った。

「石川のおじい様には助けていただきましたし、私によくしてくださっていますから。お食事にお招きするのは当然のことです」

「その理屈で言うなら、俺にも飯を奢るべきじゃないのか?」

 自分が助けてやったことを忘れているのだろうか。

 水原玲は眉をひそめた。動揺を悟られまいと、彼女は渋々承諾する。

「……ええ、わかりました。石川社長のご都合のよろしい日に、お食事をご馳走させていただきます」

 石川秀樹は無言で彼女を見つめた。

 明らかに不承不承といった態度だ。ただ追い詰められて頷いただけに過ぎない。

 だが...

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