第313章

水原玲は少し考え込み、静かに口を開いた。

「いいわ、先に行ってて。自分で何とかするから」

「本当に大丈夫?」

「ええ」

高塚礼佳はそこでようやく電話を切った。

玲は仕事に戻ろうとした。

あの二人のことなど、最初から存在しなかったものとして扱いたかった。

だが、どうしても仕事に集中できない。

耳の奥で、八年前の記憶が蘇る。あの二人が石川家に押しかけてきた時の、あの憎悪に満ちた眼差しが。

彼らは指を突きつけ、こう罵ったのだ。

『まさか、お前がこんなに恐ろしい人間だったなんてね。長年育ててやった恩も忘れ、心奈の一番大切な人を奪った挙句、あの子を階段から突き落とすなんて。なんて性...

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