第320章

その一言に、水原玲は押し黙った。

彼が家で、二人の子供たちと一緒に朝食をとらないはずがない――そう信じていたからだ。

彼女は迷うことなく言い放つ。

「朝食はいりません。石川社長、十分だけ待ってください」

「……」

家に上げたくない一心で、よくもまあそんなことが言えたものだ。

結局、十分もしないうちに彼女は家から出てきた。

石川秀樹は車内ではなく、外に立って彼女を待っていた。

昇ったばかりの真っ赤な太陽が背後から彼を包み込み、その鋭い雰囲気を幾分か和らげている。彼の視線は、まっすぐに彼女へと注がれていた。

今日の彼女は淡いブルーのシャツにカーキ色のロングスカート、足元は白いキ...

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