第353章

石川秀樹はすぐには答えず、ただ冷ややかな視線を彼女に向けた。

この女は……。謝罪など求めているわけではない。

本当にっぴきならない用事があるのなら、止めるつもりもなかった。

だが、自分の言葉を無視し、いそいそと他の男に会いに行こうとするその態度が気に食わないのだ。

彼は冷たく言い放つ。

「駄目だ」

水原玲は眉間の皺を深くした。ただの食事だというのに。彼に急用があるわけでもないだろうに、なぜこれほど強情なのか。

仕方なく、彼女は妥協案を提示する。

「どうしても行かなきゃいけないんです。もし石川社長がよろしければ、一緒に行きますか?」

本心からの誘いではない。単なる社交辞令だ。...

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