第356章

水原玲は一瞬、呆気にとられた。自分が化粧をするのを、彼が横で待っている。一体どういうつもりなのだろうか。

まあいいか。もう着替えは済んでいるし、見られて困るような姿でもない。結局、彼を部屋に入れた。

整った顔立ちに、驚くほど状態の良い肌。厚塗りの必要など微塵もない。薄く、透明感のあるメイクを施しただけで、息を呑むほどの美貌が完成した。

そしてバッグを手に取り、石川秀樹と共に部屋を出る。

昨夜の出来事は、もう過去のことになったかのようだ。

彼女は全く引きずっていないように見える。

車中、石川秀樹は時折彼女に視線をやった。機嫌は良さそうだ。

いや、良いとは言い切れない。彼の知る限り...

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