第358章

石川秀樹は彼に冷ややかな視線を投げ、淡々と言い放つ。

「何が可笑しい。多忙を極める汐見社長こそ、何をしに来たんだ? まさか、自身の作品でも出しているのか?」

「まさか」

汐見燕成は眉を上げ、あくまで何気ない風を装ってステージへ視線を流した。

「友人が出場しているものでね。わざわざ見に来たというわけだ」

彼はことさらに『友人』という言葉を強調した。まるで自分と水原玲の親密な関係を誇示するかのように。

石川秀樹はもちろんそれに気づき、不快げに眉をひそめた。

だが、すぐに平然とした表情に戻り、気のない視線を相手に向ける。

「コンテスト自体に興味はない。ただ、妻が出場しているからな。...

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