第360章

司会者はすぐに受け取ろうとはせず、一旦審査員席へと視線をやった。

その時、柳沢結菜の顔色は、これ以上ないほどに曇っていた。

他の三人の審査員は顔を見合わせ、やがて司会者に向かって小さく頷く。

それを見て、司会者はようやくUSBメモリを受け取った。

だが内心では、水原玲が審査員を買収するような真似をするとは到底信じられず、心配そうな眼差しを彼女に向ける。

しかし、水原玲に狼狽える様子は微塵もなかった。

司会者としてもそれ以上は何も言えず、公正な態度を貫くべく、スタッフにUSBを手渡した。

すぐに、映像が会場のスクリーンに映し出される。

ほんの十数秒の短い映像だ。だがそこには、水...

ログインして続きを読む