第365章

石川秀樹は何も言わず、ただ彼女を見つめていた。

過去、あれほど手を尽くして調べても何も出てこなかった彼女の経歴。それを今日、彼女は自ら淡々と語った。そのあまりに静かな態度と、飾り気のない言葉が、かえって彼胸に言葉にできない痛みを走らせる。

たった六年でこれほどの成功を収める裏で、女手一つで二人の子供を育て上げてきたのだ。彼女はこれまで、どれほどの苦労を飲み込んできたことだろう。

石川秀樹からのあまりに直截な視線に、水原玲の心臓が早鐘を打つ。こみ上げてくる、名状しがたい感情。

この感覚は……疼き、だろうか?

確かに、胸が痛むような感覚がある。

だが、まさか。そんなはずはない。

彼...

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