第375章

傍らに控えていた斎藤恭介が口を開きかけた、その時だった。

水原玲はすでにポケットからスマートフォンを取り出し、それを無造作に石川秀樹へと放り投げた。

画面に表示された音声ファイルを見て、秀樹は再生ボタンを押す。

スピーカーから、しわがれた老人の声が流れ出した。

「あの人が誰なのかは知りません。ただ、大金を……とんでもない大金をくれたんです。息子は私に心配かけまいと何も言わずに、私の入院費を払い、あいつの親父の借金まで返して……その後、息子は私たちを遠くへ送りました。それきり、息子には二度と会えていません……」

老人の嗚咽が響く。

秀樹は青ざめた顔で玲を睨みつけた。

「この録音、...

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