第099章

 石川秀樹は呆然とした。

 まさか彼女が牛乳アレルギーだとは。

 その瞬間、心の中にどんな感情が湧いたのかはっきりしなかったが、それでもミルクティーを引っ込め、脇のテーブルに置いた。

 後ろから、水原一郎が冷ややかに笑う。

「ママが牛乳アレルギーだってことも知らないなんて、石川社長も夫失格だな」

 マイナス十点。

 小さな胸の中で、少年は憤慨した。

 だが、その独り言のせいで渡辺勇介の表情がどこか怪訝なものに変わったことには、全く気づいていなかった。

「なんで君が、君のママが牛乳アレルギーだってことを知ってるんだ?」

 この子と水原玲は、数えるほどしか会っていないはずだが?...

ログインして続きを読む