第202章

 現場の医師からの応答を耳にして、高橋隆一の心臓は粟立つように震えていた。

「広瀬爺さん、頼む、絶対に彼女を救ってやってくれ」

 電話の向こう側から、深いため息が漏れ聞こえる。

「医者としての本分だ、我々だって今すぐ目を覚ましてほしいと思っているさ。だが、あの嬢ちゃんは頭をひどくやられている。一命を取り留めたとしても、植物状態になる可能性が極めて高い。覚悟だけはしておけよ」

 高橋隆一は、重く息を呑み込んだ。

「広瀬爺さん、あんたたちをそこへ呼んだのは誰なんだ?」

 通話越しに、数秒の沈黙が落ちる。

「お前さんの仕業じゃなかったのか? この中川でそれほど顔が利く人間なんて、お前...

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