第216章

「僕が贈った花、届きましたか?」

 渡辺美代は一瞬きょとんとして問い返した。

「何の花ですか?」

 松本直人はふっと微笑んだ。

「カードを見ていないようですね。まあいいです、直接お祝いを伝えに来たんですから」

 美代は必死に冷静さを保とうとした。

「ご親切にどうも。でも、親しくもない方から贈り物を受け取る理由はありません。おいくらでしたか? アシスタントから振り込ませます」

 彼女の冷淡な反応は、直人にとって想定内だった。

 直人は少しの間沈黙してから口を開く。

「渡辺さん、少しビジネスの話をしたいのですが、どこかでお話しできませんか?」

 そう言われると、気の利く二人の...

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