第103章 危機を脱する

主治医は胸を打たれたように息をつき、森川汐里の手の甲をそっと叩いた。

「保護者の方、落ち着いてください。お子さんは今のところ大丈夫です。状態も安定していますし、命に関わる危険はありません。安心なさって」

その言葉を聞いた瞬間、森川汐里の胸に張りつめていたものが、すとんと落ちた。

極限まで強張っていた身体も、ようやく力が抜ける。

――ふらり。

膝が折れ、床に崩れそうになった彼女を、九条千秋が素早く抱きとめた。しかもさりげなく、藤原由真が手を伸ばそうとした動きを、身体で遮るようにして。

千秋は汐里を支え直し、医師に軽く頭を下げる。

「ありがとうございます。今後、気をつけることはあり...

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